玉本奈々さんの言葉

京都・ギャルリー宮脇サイトhttp://www.galerie-miyawaki.com/の玉本奈々 デジタルカタログ『Facing Time - Thought to Life』より

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うねり、躍動、囀り。

視覚や聴覚、嗅覚で感じる生の導きがある。
時折私は目を瞑り、幹の表皮に耳を傾ける。
樹が水を吸い上げる、小さな音を感じた時、
間近にある生命の尊さに至福を想う。
樹は、
上中に張る根の如く、
地上にて、空へ向かい枝を伸ばす、
そして、
次第に昆虫や鳥を誘うかの様に、
美しい花びらで飾られた花を咲かせる。
華の可憐は束の間に、他者の手を借り輸送
された花粉は、雌蕊に受粉され、種となり、
土へ還る。その種は、再び新たな息づきと
なり、土壌の力を一助とし、芽吹き始める。
ここに樹、華の跡、土壌がある。
その時々に巻き起こる、他者との関連や
相利共生が、生命力という特有の魅力を放つ。
その生命力は、
生きることを当然としている私達に、
「生きる」ことを教えてくれる。<玉本奈々 2014年早春>
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私は彼女の言葉に触れる時、彼女の作品と向かい合っているような気がする。
ブラックホールのような吸引力。
血管の一本一本に沁みる言葉。
でも、決して暴力的ではなく、限りなく優しい。

玉本奈々さんは美術家。
ネットで作品を観るならオフィシャルサイト「玉本奈々の世界」へhttp://www.kcat.zaq.ne.jp/ta-ncan-ma/